起業して、事業を継続する事の難しさを改めて感じたのは、以前勤めていた会社で採用を担当していた頃の事でした。
面接にいらした方が仰る「前職を辞めた理由」に「始めた事業の失敗」を挙げる方がまぁ多い事。
でも単純に「能力がないから失敗した」という訳ではなさそうなのです。
例えば総菜屋を営まれていたTさん。
一流ホテルで料理人として修業した経験を持つ彼の腕は確かで お店は繁盛したそうですが、今では食材を見るのも嫌になったそうです。それはこんな流れから。
お客さんが増える → 仕事量が増える → 時間内にこなせなくなる → 働く時間を延ばす → 仕事に消耗し始める → 更にお客さんが増える → 仕事が回らなくなる → お客さんのために働く意欲が薄れてくる → 品質が落ちる → 評判も落ちる → 更に働く時間を延ばす → 今までのやり方では事業は継続し得ない事に気付く…
筆者のマイケル・E・ガーバーは こういったケースは良くある事で、本の中で「事業の中心となる専門的な能力があれば、事業を経営する能力は十分に備わっている」という考えは、自分はこの道のプロであると自負する人たちが必ずと言って良い程 陥るワナであるとしています。
はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術
私は今まで読んだビジネス指南本の多くに、こんな感想を抱く事が多々ありました。
「この方法で成功した!」という方法を、別のタイミングで、同じ人が実践したとしても、恐らくそれは成功しない。だから読み物として楽しめたなら それで良しとしよう♪
って。
でも、アメリカの成長起業500社のCEOがNo.1に選んだこの本は違いました。(当たり前か)腕に自信がある職人タイプの経営者が陥る失敗の原因と、そこから脱出する手法と考え方がふんだんに盛り込まれれた素晴らしい一冊です。
店舗の経営に行き詰るパイ職人のサラが、筆者との会話の中で失敗の理由と これから行うべき事に気付き、そして光明を見出す過程に感情移入してしまう、読み物としての面白さと親しみやすさがありました。
おすすめです。
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