
久々のブックレビューになりますが、今回ご紹介したいのはITILに関する書籍です。
ITILとは?
Information Technology Infrastructure Libraryの頭文字をとったもので、ITサービスに関するベストプラクティス=成功事例をまとめたもので~なんて書き始めますと「あ、自分はIT系じゃないから関係ないや」とスルーされてしまうかも知れません。でもちょっとだけ待ってください!
このITIL はじめの一歩 スッキリわかるITILの基本と業務改善のしくみはIT業界のみならず、お仕事でITを使っている会社員の皆さま、お客さん(個人に限定しません)を相手に商売をされている方々等、多くの方に役立つので読んで頂きたい良書籍なのです。
さてさて、普通の人はITILなんて知りませんよね。ITILはアイティルと読みます。
何でITILが生まれたかと言いますと、時は1980年代にさかのぼります。
超~~ざっくり言いますと
イギリス政府「ITに多くの投資をしてるのに成果でないなぁ…では抜本的に改善してみよう!」
というところから始まったものです。
ITILを実装することでITの運用コスト削減と顧客満足度向上という、いわば相反する要素を同時に満たすことができるという素晴らしいメソッドなのですが、学ぼうにも既存の解説本の書き方が分かり難かったりするので、私の周りでITILは「マネジメントクラスが知っておくべき知識」みたいな位置付けでした。本当は違うのに…
でもこの本を読むことで「サービスって何なんだろう?」という深い部分にも振り返れて、かつ腑に落ちる答えが得られます。

ITIL はじめの一歩 スッキリわかるITILの基本と業務改善のしくみ
ITILとは少しだけ離れますが、サービスに関してはこんな格言があります。
以下はマーケティングの分野でレビット博士が提唱したものです。
※引用著書:マーケティング発想法
これ「なるほどな~!」って思いません?
客「6mm口径のドリルはありますか?」
店「6mmはないですね」
客「じゃあイイです~」
で、お客さんは帰ってしまいます。
でも、もしお店の店員さんがもっと顧客視点で物事を考えられていたのならば、例えば穴を空ける目的をヒアリングした上で何かしらの提案ができていたらならどうでしょうか?
ドリルというのはあくまでも道具(ツール)であって、その先には目的があるという事ですよね。ドリルを買って眺めるが目的!なんてお客さんはおらず、お客さんは6mmの穴が開けられれば良い訳で、代替提案できたら機会損失は発生しなかったかも知れません。
私達も普段の生活の中で他者が提供するサービスを頻繁に利用していますが、その時に(言葉は悪いですが)「この店員さん使えないな…」とか思う事って多くないですか?
そういうのって、サービスを提供する側がユーザーリクエストを理解していないケースが殆どです。
そして店員さんは、ITIL(広い意味ではサービスマネジメント)を理解することで意識が変わり、お店の売り上げにまで好影響を及ぼせるかも知れません。
ITIL = IT業界で使うもの!と思われがちですが、
・もしも八百屋にITILを導入したらどうなるか?
・もしも旅館にITILを導入したらどうなるか?
・もしも喫茶店にITILを導入したらどうなるか?
・もしもメーカーにITILを導入したらどうなるか?
等、この本では八百屋、旅館、喫茶店といったところでITILがどのように活かせるのか?が書かれています。それはITILで紹介されている様々なプロセスなり機能を、我々にとっても馴染み深くてイメージしやすいロケーションで再現してくれるので非常に読みやすく、良く出来た構成で執筆者さんの能力を羨むほどでした。
サービスに関わる全ての方に読んで頂きたい本です。仮に売上が低迷しているなら、その打開策も見つかるかも知れませんし。