飛騨路一人旅一日目 飛騨・高山。

名古屋から高山方面へと向かう[ワイドビューひだ]の車窓から渓谷の絶景に見とれる一人の女性。けれど、あいにく彼女の席は通路側。なので…

「席…かわりましょうか?」
「いえいえ!大丈夫です。お気遣い有難うございます。」
「あの、お一人…なんですか?」
「あ…はい。女の一人旅なんですケド、実は傷心旅行なんです。」
「…」
「あ!あたしったら何言ってるんだろう?変な事言ってゴメンなさい!」
「いえいえ!僕なんて傷心に浸る相手すらいませんから。良かったら、少しお話しませんか?」

と、私は一人旅に行くたびに、週末の昼にやっているドラマの1シーンのように弾む会話を脳裏に描くのだけれど、実際にそんなシチュエーションになったケースは一度だってなく、大抵は今回のように電車の中では子供が大声で騒いでいて、それに対して母親が子供以上の大声で

「電車の中では静かにしてなさい!!」

なんて、理不尽な怒号が飛び交っていたりするものである。

それはさておき、今回の旅のテーマは「グルメと地酒」。
中でも飛騨高山の飛騨牛は何としてもA-5クラスの最上級を味わいたい。A-5クラス…それは飛騨牛の中でもトップクラスの肉質を誇る、飛騨牛ピラミッドの頂点に君臨するもので、会社組織に例えるならば役員クラスの牛肉である。

飛騨牛のステーキ

口の中の低い温度でとろける上質な霜降り肉の脂、その甘味は確かに美味い。けれど、元々脂の少ない赤肉が好みなのは欧米人も私も同じで、一度に多くの油を摂った所為か、すっかり気持ち悪くなってしまったのである。

肉も会社でのランクも、私には中くらいがお似合いなのだろうか?

関連性は無いながらも、妙に納得してしまう自分が悲しい。つ、次は酒飲もう…

国が重要伝統的建造物群保存地区として指定した「古い町並み」には、出格子の連なる軒下に用水が流れ、杉の葉を玉にした「酒ばやし」が下がる老舗の造り酒屋が軒を連ねていて、そこでは試飲は勿論の事、枡酒も手ごろな値段で楽しめるのだ。

古い町並み

テーブルに置かれた塩をなめながら頂くご当地の日本酒は、旅情をより味わい深いものにするのに最適なアイテムなのである。

そしてホテルでの晩酌用にと買ったカップ酒を片手に、飛騨牛の串焼きに舌鼓を打つ。これは東京では出来ない事の一つだ。

「いやぁ~、旨いもんですなぁ♪」

と、意味なく平泉成のモノマネをしながら(酔っ払いの行動に意味なんて無いのである)、トローンとした目つきでフラフラと宿へと戻る(酔っ払いの基本)、そんな飛騨路の一日目でした。

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